HACCPは、いつまでにやればいい?

平成30年6月13日、食品衛生法が改正されました。
今回の改正の大きなポイントは、食品事業者にHACCPに沿った衛生管理が求められるようになったことです。
いつからやればいい? いつまでにやればいい?
1.法律の公布と施行の違い
平成30年6月13日に行われたのは、法律の公布です。
交付とは、こういう法律ができました、と広く国民一般に知らせることです。交付は、新しい法律ができましたよ、と知らせるだけなので、交付日からすぐにその法律が有効になるわけではありません。
新しくできた法律が有効になる日として、施行日があります。つまり、この法律がいつから有効なのか、を決めた日です。新しく作られた法律の中には、○年△月×日より施行と書いてあるものから、施行日は別に定める、とするものまで様々です。
これは、法律の内容や事情によって違ってきます。
食品衛生法は?
今回の食品衛生法を改正する法律は、去年の6月30日に交付されたものの、施行日は2年以内にに定める、ということになっていました。
食品衛生法の改正の交付によって、HACCPの衛生管理が必須になることが宣伝されたのですが、では、いつからその法律が有効になるのか、については、ずっと決まっていないままでした。
もちろん、HACCPは、法律関係なく国際的に認められた衛生管理の手法なので、早く導入して悪いということはありません。逆に、先を見越して早めに導入していれば、他との差別化や切羽詰まっての導入の混乱が防げます。
とはいえ、法律的にはいつからなのか、という施行日が決まらないままの状態が続きました。
2.ついに施行日が決定
令和元年10月9日付けで、ついに、食品衛生法の改正の施行日が定められました。
厚生労働省のホームページにも施行日を定める政令が掲載されています。
施行日は、令和2年6月1日です。
つまり、令和2年6月1日から、飲食店等を含む食品事業者は、HACCPを導入しなければならなくなります。
ただし、この日から一斉に導入といっても無理がありますので、移行期間を設けてあります。
その移行期間の期限が、施行日の1年後の令和3年6月1日となりました。
遅くとも令和3年6月1日までには、HACCPを導入しておかなければならない、ということに決まったことになります。
3.期限までまだ1年以上あるけれど
最終的な期限としては令和3年6月1日です。
まだまだ時間があるから、今は、まだいいんじゃない?
実は、そうでもないんです。
HACCP導入には時間がかかるものなのです。
見た目としては、書類作ってチェックして終わり、と思われがちですが、HACCPは書類に落とし込むまで苦労し、さらに書類に落とし込んだ後の実行でも苦労します。
これまでも衛生管理をきちんとやってきた、という会社であれば、それを書面に起こすだけでもHACCP導入の一歩となりますが、チェック一つにしても、これまでやっていなかったことを導入する、というのは、なかなか大変なことです。
まして、スタッフに習慣づけさせたり、改善したりするサイクルを作るには、一朝一夕には難しいでしょう。
通常、食品工場などで、HACCP導入を行う際には、半年~1年程度の期間をかけてHACCPを導入していきます。
なぜ、こんなに時間がかかるのかというと、現場確認、計画、実施、改善を繰り返し、より有効なHACCPを作っていこうとするからです。
飲食店においては、食品工場ほどは時間がかからないにしても、スタッフへの教育など、HACCPを導入した、と言える状況になるまでには、時間がかかります。
法律的に期限を決められた以上、今から取り組んでも、早すぎることはないでしょう。
4.まとめ
ついに、法律的にもHACCP導入の期限が見えてきました。
HACCPはやらなければならない以外にも、食中毒を防ぐという根本的なメリットから、従業員教育や安全のブランディングまでさまざまなメリットがあります。
HACCP導入には時間がかかります。
今から取り組み始めるのをおすすめします。