計画しただけじゃ終わらない、手順9(原則4)でチェック方法確立

手順8(原則3)では、重要管理点(CCP)を管理するための基準を決めました。
どのように管理するのか、を具体的な数値で決定しました。
手順9(原則4)では、その決定した基準の数値をどう守っていくか、を考えていきます。
HACCPの手順全体については、こちらのブログをご参照下さい。
1.モニタリング・システムとは?
手順9(原則4)では、重要管理点(CCP)におけるモニタリング・システムの確立をします。
モニタリング・システムとは、手順8で決めた衛生のための基準値を守っているかどうか、チェックする仕組みのことです。
基準を決めるだけ決めて、そのままいつも通りに製造していたのでは、HACCP計画を行った意味がありません。重要管理点(CCP)で決めた基準が守られているかどうか、それを確認する必要があります。
ここでは、より、具体的に、いつ、誰が、どうやってチェックするのか、を細かく決めていきます。そして、チェックは記録に残し、その現場の責任者が再度確認をして、署名をします。
例えば、手順8で、95℃5分以上の加熱が必要と決めた場合、機械の具合や気温によって、95℃ちょうどであったり、96℃であったり、と多少変動する場合も考えられます。
しかし、94℃の場合であれば、食中毒になる危険が高まるため、94℃の状態で加熱したものをそのまま通過させるわけにはいきません。
だから、チェック体制の確立が必ず必要になってきます。
チェック回数などは、その工程によって違ってきますし、単に温度を見るだけなのか、細菌検査をするのか、といったチェックの種類によっても異なってきます。
ただ、あまりにチェック回数が少なすぎると、チェックの意味がなくなり、基準を下回ったのを見逃したまま、次の工程へ流してしまう危険もあるため、工場の状況に応じて検討する必要があります。
2.HACCPが計画作りっぱなしにならない理由
いろんな場面で計画を立てることがありますが、結局実行せずに終わる、ということもしばしばあります。でも、HACCPは、手順の中に実行も含まれているため、衛生管理の計画を立てて、計画立てっぱなし、というのを防いでくれます。
この手順9(原則4)もその手順一つです。計画を立てて、実際にチェックを行う手順です。
マニュアルを定めても、マニュアル通りに実行していなければ、そのマニュアルは無駄になってしまいます。HACCPでは、マニュアル(基準値)を作り、それを守ためのチェック方法も作る、という流れになっています。
3.チェック方法は、従業員がやりやすい方法で。
重要管理点(CCP)で、定めて基準がきちんと守られているかどうか、チェックするのはとても大切ですが、これまでの工程に新たに何かの作業を加える、というのはとても大変なことです。たった一つ温度と時間を確認して、チェックマークをつけるだけでも、つけ忘れたり、面倒でまとめてつけてしまったり、といったことが起こります。
新たにチェック項目を増やすと、それだけ負担が増える、ということを念頭に、少しでも手間が省け、これまでやっている作業からの流れでできるような工夫が必要です。また、何のためにチェックをするのか、それに対する従業員への教育もここでは必要になります。
ただ、単に、95℃以上になるのを見ておけ、だと94℃でもいいのかな、など思ってしまい、間違ったチェックとなってしまう可能性もあります。
チェック方法については、従業員がやりやすい方法をさぐっていく必要があります。
4.まとめ
HACCPは、衛生管理の計画を立てるだけではありません。
その計画を実行するためのチェック方法も決めます。
チェック方法は、何より、従業員がやりやすい方法を考える必要があります。