一番初めが肝心!HACCPチームの作り方

HACCP導入の一番始めとなる手順1。
手順1では、HACCPチームを作ります。
どのようなもので、どうやってやるのか、簡単に解説します。
HACCPの手順全体については、こちらのブログをご参照下さい。
1.HACCPチームは何をするチーム?
まずは、HACCPチームの役割を理解しておきましょう。
HACCPチームは、社内でHACCP導入を推進していく中心的な存在となります。実際に製造工程表の作成や現状の確認、ハザード分析、HACCP計画の立案、実施指導、確認、計画の見直しなど、を行います。
社長から部下に対して命令してやらせる、というよりは、それぞれの現場での状況が分かる人だったり、製品の専門知識を持っている人、製造機械に関する専門知識を持っている人、衛生管理の専門知識を持っている人、など、それぞれの持ち場での知識を持ち寄り、これまでの経験や現状、専門知識を使って進める必要があります。
チームはトップダウン方式では成り立たず、それぞれの専門的に習熟した社員の観察や意見、計画によって、HACCPは進めることができます。
また、それらの各社員をとりまとめるコーディネーターを外部から呼ぶ場合もあります。コーディネーターは、HACCPの知識を使って、チームをまとめてHACCP導入をすすめていく役割を果たします。
2.HACCPチームを作る上での難しさ
理想的なHACCPチームとしては、製品知識が詳しい人、各作業工程における管理者や専門技術社員、機械関係の社員、梱包などの作業員など、それぞれ代表を選び出し、チームを作成します。
しかし、この人選で困ることもあります。
現場作業のそれぞれの代表を選び出したとしても、普段は作業をしていて、HACCPチームのミーティングに出る時間がない、といったことです。あるいは、選ばれた人は、そんな面倒なことをやりたくない、と拒否をするかもしれません。
そこで必要になってくるが、HACCPミーティングのための仕事調整と選ばれた人への説得です。
社長がやれというからやれ、で決めてしまう場合もあるかもしれませんが、それでは、余計に社員がやる気をそがれてしまい、本来であれば活発な議論が必要なHACCPは社長が決めただけの計画になってしまいます。
それでは、HACCPの本領を発揮することはできません。
HACCPは、本来、会社全体で取り組むものです。
ただ、HACCPチームは、その導入を先導する役割を果たします。
どの道全員取り組むものですので、チームに選ばれた代表だけでなく、チーム作成前に、社員に対してHACCPへの周知をすることが必要です。
3.HACCPチームのメリット
各部門の代表者で構成されます。そこではトップダウンはありません。
例えば、次の手順2では、製品の説明書を作成します。
この時、製品知識に詳しい人が主に作成することになりますが、それ以外にも、作業工程の中で、製品の特徴に気づいている人がいるかもしれません。そうした所から、普段、分かっているつもりでも、違う現場から見た製品の姿を知ることができ、製品のブラッシュアップにもつながります。
あるいは、手順4の作業工程を作成する状況においては、実際に作業を行っている社員の代表が主に作成することになりますが、他の部門、あるいは、他のメンバーからの指摘によって気づくこともあります。
上司からの命令で、日々作業をしているだけかもしれませんが、そこに他の部門の代表者の目が入ると、また違った形で見えてくることがあります。
HACCPは手順に沿って、それぞれ書面などを作成していきますが、チーム内でもそれが新たな気づきになることもあります。
部門同士で誤解していた部分もあるでしょう。
チーム作成が、社内の人間関係も含めてよい形にできれば、それだけで、一つの成功とも言えます。
4.まとめ
HACCPチームは、各部門の代表者を選んで作るチームです。
そこでは、社内それぞれの部門の経験や知識が活かされてHACCP計画が進められていきます。
新たな業務を増やしてしまうチーム作成は、そう簡単にはいかないかもしれません。
社内での反対にあうかもしれません。
しかし、社内全体でHACCPに取り組むという周知を行い、その代表としてチームに参加してもらえれば、HACCP導入の第一歩になるはずです。