食品関係者必須!HACCP(ハサップ)導入が必要な理由


飲食店関係者の方、食品製造業者の方、 HACCP(ハサップ)を導入していますか。
名前を聞いたことがある、だけでは済まされない事情があります。
なぜ、HACCP(ハサップ)導入が必要なのか、導入しないとどうなるのか、そんな疑問にお答えします。
1.最大の理由は、食品衛生法の改正
1.1 食品衛生法とは?
飲食店をしようと思った時に、まず必要なのが、食品衛生責任者と保健所の営業許可です。
人に食べ物を提供する際には、衛生的に食べ物を取り扱わなくてはなりません。
不特定多数の人が口にする食べ物ですので、厳重な衛生管理が必要です。
そうした衛生管理を定めた法律が、食品衛生法です。
法律なので違反した場合には、それなりの処分があります。例えば、食中毒を起こした場合の営業停止処分がそれに当たります。それらの処分の根拠となるのが、食品衛生法です。
食品を取り扱う業者にとっては、欠かせない法律です。
1.2 食品衛生法の改正
平成30年6月に食品衛生法が大きく改正されました。
この改正は、近年起こった大規模な食中毒事件や、人・物が国を超えて移動するなどして食の国際化も進んできた状況から、食品の安全をさらに高めるために改正されました。
いくつか改正されましたが、そのうち、特に広く大きく影響を与えるのが、HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理の制度化です。
1.3 HACCP(ハサップ)の制度化とは?
厚生労働省は「制度化」という言葉を使用していますが、実際は「義務化」とほぼ同じ状況です。
法律の条文においては、HACCP(ハサップ)という用語を用いてはいませんが、第50条の2の②で、「食品衛生上の危害の発生を防止するために特に重要な工程を管理するための取組」という表現がされています。
つまりは、これがHACCP(ハサップ)になります。
食品衛生法は、HACCP(ハサップ)導入の詳細については、省令(省庁が出す決まり)で決める、という内容になっています。細かい決まりについては省令で定められますが、HACCP(ハサップ)への取組は必要です、ということを法律で定めています。
2.法律だけではない、HACCP(ハサップ)導入のメリット
2.1 法律以外のHACCP(ハサップ)導入の理由
食品衛生法の改正によってHACCP(ハサップ)導入が必要になったことは間違いありませんが、それ以外にもこんな理由で必要な場合があります。
- 取引先からHACCP(ハサップ)を求められた。
- 海外輸出先からHACCP(ハサップ)が必要と言われた。
- ISOを取得したい。
- 取引先などから必要に迫られてHACCP(ハサップ)を導入した。
というケースもあるようです。
特に海外へ輸出する際には、HACCP(ハサップ)がすでに標準化している国では当然のように求められます。
逆に言うと、HACCP(ハサップ)を導入することで、取引先が広がる可能性もあります。
2.2HACCP(ハサップ)の一番のメリット
HACCP(ハサップ)の最大のメリットは、何と言っても、食中毒の予防です。
そもそも、そのために商品衛生法が改正されたので、食中毒の予防を高めることが、HACCP(ハサップ)最大のメリットとなります。
もちろん、これまでの一般衛生管理でも食中毒を予防してきましたが、やはりそれでも足りない部分、それを補ってくれるのがHACCP(ハサップ)です。
より確実に食中毒を予防するために、これまでの衛生管理の見直しも含めてやれば、さらに効果的に予防することが出来ます。
飲食店や食品製造会社などの食品を取り扱う会社にとっては、食中毒は最大の危機です。
小規模であればあるほど、食中毒が起こったときの損害は計り知れません。そのリスクを減らしてくれるのが、HACCP(ハサップ)です。
3.HACCP(ハサップ)を導入しないとどうなるのか?
3.1 営業停止になる?
食品衛生法が改正され、制度化されたものの、今現在、詳細を決める省令が発表されていないため、今すぐに導入しなければ営業停止になる、というものでもありません。
しかし、厚生労働省の説明会においては、2019年には省令公布され、2020年から施行し、1年の移行期間を経て2021年までには完全実施、というスケジュールを立てているようです。
遅くとも2021年までにはすべての食品事業者においてHACCP(ハサップ)導入をしなければならなくなります。また、これは予測にすぎませんが、省令が公布され、施行時期が決まれば、保健所等からの案内や指導が入る可能性もあります。
3.2 食中毒のリスクは高いまま
現在、日本の飲食店や食品事業者において、一般的に行われている一般衛生管理でも食中毒の予防効果はありますが、それだけでは足りません。
それゆえ、それぞれの調理工程に着目した衛生管理が必要になってきます。
HACCP(ハサップ)を導入しないままでいると、食中毒のリスクは高いままになってしまいます。
4.まとめ
法律で求められているHACCP(ハサップ)ですが、法律以上に、食中毒を予防する、というメリットは非常に大きくあります。
そうした理由から、実は、大手食品製造業者などでは法律施行前より導入している企業もあります。
HACCP(ハサップ)導入の理由を理解し、今後積極的に取り組んでいく必要があります。